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御成小講堂の簡易調査(構造)の紹介 | 鎌倉 御成遺産

御成小講堂の簡易調査(構造)の紹介

2014年5月31日 御成小学校 旧講堂 / 歴史

平成7年9月(財)日本建築センター(指導:東京大学 坂本 功教授、 担当:東大坂本研究室)

福澤健次

ほぼ20年ほど前に、講堂の状況把握のための現地調査と、その分析・考察からなる報告書(※)が提出されていたので紹介する。(※日本建築センターは、平成7年6月に鎌倉市より御成小学校改築案調査業務の委託を受け、講堂の簡易調査および敷地の地盤調査(既往地盤調査のとりまとめを含む)を行い、その結果を報告書にまとめた、以下はそのうちの講堂の簡易調査報告の紹介である)

この調査は標記のような体制で実施され、現地調査は9月11,12の両日に大橋助手以下の坂本研究室の皆さんによって実施された。

目次
1. 調査内容
2. 調査結果
 2.1 建物概要
 2.2 基礎・床組
 2.3 軸組
 2.4 小屋組
 2.5 接合部の留め付け状況
 2.6 老朽化している箇所
 2.7 調査結果のまとめ
3. 調査結果と補強
 3.1 調査結果の概要
 3.2 補強・改修の方針


1.調査内容

①建物軸組図、小屋組図、伏図などの作成、主要部材の断面寸法。
②荷重・強度の概算のための主材料・仕様等の特定。
③金物の使用状況、接合部の留め付け状況の把握。
④目視による老朽部材・箇所の特定。
以上の調査には、スケール、カメラ(含 ポラロイド)、脚立、簡単な大工道具、筆記具等が使用された。

2.調査結果

2.1 建物概要

建物の母屋は南北(桁行)22間×東西(梁間)9間の198坪で、玄関や物置等が下屋として付加されている。(図1平面図)北側の6間分は講堂舞台裏で、準備室や控室に用いられた諸室が並んでいる。南側2間分には物置やトイレが配されている。この南北部分には多くの壁が存在する。

これらに挟まれた14間分が講堂で、一つの大空間になっている。そこでは天井高が5m確保されている。外壁面の14間はほとんどが開口部や窓で壁は少ない。

この建物は柱間が1,818mmで、従って桁行は39、996m、梁間が16、362mである。この空間を覆う小屋組は木造トラスで構成されている。(図12トラス断面図)これを1間間隔に建つ5~7寸角の柱が支えている。

トラスから柱へは方杖が取り付けられ、ラーメンを構成している。この建物は昭和8年に竣工し、築後60年以上経ているので、漏水個所が見受けられ、屋根や外周部の一部では腐朽が始まっている。

図1 平面図
図1 平面図

図12 トラス断面図
図12 トラス断面図

2.2 基礎・床組

基礎 逆T型のコンクリート布基礎が、外周と主要間仕切り下にある。講堂部分には中間に二分するように布基礎が入っている。(図4基礎伏図)布基礎には鉄筋が配されていると考えられる。(確証はないが)

基礎の断面は(図7、8基礎詳細図)のようである。

外周布基礎の換気口周辺には小さなひび割れが発生しているし、その他の外周部にも同様な割れが観察された。内部の布基礎でも、大きなひび割れが3箇所観察された。

建物に顕著な不同沈下は見られない。砂地盤で地耐力が比較的大きかったからと考えられる。

床組は丸みのある材も多く部材断面は小さ目めで、貧弱である。ただし、床下は乾燥していて腐食はほとんどない。床板は2重になっているが、元々は一層だったものに、後から体育館用の床を張ったと見られる。

図4 基礎伏図
図4 基礎伏図

図5 土台・大引伏図
図5 土台・大引伏図

図6 1階床伏図
図6 1階床伏図

図7 基礎詳細図(内部)
図7 基礎詳細図(内部) 

図8 基礎詳細図(外周部)
図8 基礎詳細図(外周部)

2.3 軸組

桁行22間×梁間9間の198坪の母屋部分が主要な構造体である。東側の玄関は当初からの部分と考えられるが、現在は用具の物置として使われている。(図10)の平面図は確認された筋かいの位置を示す配置図である。確認された部分が実線部で破線部は推定箇所である。たすき掛けの筋かいは確認されていない。

北側6間の準備室・控室などに集中的に筋かいが入っている。南側も同様と推定される。

講堂は1室の大空間で、外壁面の14間はほとんどが開口部や窓になっていて、壁は少ない。(図2西立面図) 柱は少しずつ寸法が異なるが、講堂部分は比較的小さい柱で支えられている。また、屋根のトラスは1間間隔で配置されているが、一部開口部で、柱がまぐさに載せられている箇所がある。

図10 筋かい位置図(確認できたもの)
【図10 筋かい位置図(確認できたもの)】

図9 筋かい端部詳細図
【図9 筋かい端部詳細図】

図2 西立面図
【図2 西立面図】

図3 南立面図
【図3 南立面図】

2.4 小屋組

建物の梁間は16.362m(9間)である。(図12)のようなトラスがほぼ1間毎に配置されている。屋根は入母屋形式なので、南北から1間強内側のトラスが入母屋の破風を形成している。この部分を含め、南北の両側、部屋で小さく区切られている部分では、間仕切り壁の柱がトラスまで伸びていて、純粋なトラス形式は崩れている。

トラスは部材も大きく、全般的に見てほとんど痛みは観察されなかった。強度上問題ないと考えられ、十分再利用が可能であろう。

この屋根トラスを1間間隔に建てられた5~7寸角の柱で支えている。また、トラスから柱へ挟みつけるように方杖が取り付けられ、ラーメンを構成している。この方杖は講堂の内部にも現れている。

図11 小屋伏図
【図11 小屋伏図】

図12 トラス断面図
【図12 トラス断面図】 

図13 トラス接合部位置図
【図13 トラス接合部位置図】

図14 トラス接合詳細図①
【図14 トラス接合詳細図①】 

図15 トラス接合詳細図②
【図15 トラス接合詳細図②】

図16 トラス接合詳細図③
【図16 トラス接合詳細図③】

図17 トラス接合詳細図④
【図17 トラス接合詳細図④】

図18 トラス接合詳細図⑤
【図18 トラス接合詳細図⑤】

【図19 屋根伏図
【図19 屋根伏図】

図20 庇詳細図
【図20 庇詳細図】

2.5 接合部の留め付け状況

軸組部の接合部は見ることができないので小屋組・床組を中心に接合部を調べた。

観察した範囲では、一般にボルトなどの金物が多用されている。小屋組では接合部のほとんどがボルト締めされている。トラスの各接点も、短冊金物ボルト締めや羽子板ボルト締めされている。

床組でも、土台どうしは羽子板ボルト締めされている。仕口には不明な点が多いが、軸組部の接合には入念な施工が見られる。

小屋組の状態を(写真1、2)に示す。小屋組や床組は比較的乾燥状態が良かったために、著しい錆も見られない。概ね十分な強度を有していると考えられる。

ただし干割れが進行しているものも見られ、部分的に材を取り替える必要があり得る。

写真1 トラス詳細①
【写真1 トラス詳細①】

写真2_short
【写真2 トラス詳細②】

2.6 老朽化している箇所

部分的に漏水が見られる。(図21) 入母屋の破風など、屋根の納まりの難しい箇所の直下に漏水個所が集中している。屋根自体にも、軒先などの腐食が進んでいるというが、今回屋根には登らなかったので詳細は不明である。

建物外周では、土台や柱の外面に腐食が見られる。特に東側玄関は水仕舞に問題があるようで、腐食箇所が多い。また、北側2箇所の出入り口周辺も、木材が直接土間に接しているところで腐食が見られる。

また前述のように、換気口を中心として基礎にひび割れが発見されている。基礎は新たに設置する必要がある。

図21 漏水箇所位置図
【図21 漏水箇所位置図】

2.7 調査結果のまとめ

基礎は逆T型のコンクリート布基礎が、外周と主要間仕切りの下にある。内部の基礎には、確認できただけでも、3箇所に大きなひび割れが観察された。また外周部の換気口周辺には、小さなひび割れが発生している。その他の外周部分にも同様な割れが観察された。

床組のうち大引きや根太、束は一般に部材断面が小さいものが多い。部材としては貧弱である。ただし、床下は乾燥していて腐食はほとんど見られない。

接合部は小屋組・床組を中心に接合部を調べたが、観察した範囲では、一般にボルトなどの金物が多用されている。また小屋組や床組は比較的乾燥状態が良かったために、一般、著しい錆も見られない。概ね十分な強度を有していると考えられる。

ただし、部材は干割れが進行しているものも見られ、部分的に材を取り替える必要がありそうである。

老朽化に関しては、天井からの漏水跡が数か所で見られた。入母屋型の屋根のためであろう。建物外周では、土台や柱の外面に腐食が見られる。特に東側玄関は水仕舞に問題があるようで、腐食箇所が多い。

講堂は、梁間約16m桁行約40mの平面をもち、小屋組のトラスを5~7寸角の柱で支えている。

常時の鉛直荷重に関しては、これまでの使用実績から見て大過ないと考えられる。

地震力・風圧力などの水平力に対しては、桁行方向は筋かいで抵抗させているが、東西外壁面の無開口壁の長さから見て、水平耐力が不足している恐れがある。

また、梁間方向は、小屋トラスの端部と柱とを挟む方杖によって、全体としてラーメンを構成しているが、その水平耐力は精算によって確認する必要がある。なお、

方杖の下に開口部があって、そこで柱が切断されているところがあり、その構面は水平力を全く負担できない。

また、建物両側に壁があるこの建物では、屋根面は十分な水平剛性を確保する必要があるが、現状の野地板は板を釘打ちしたもので不十分と考えられる。

3.調査結果と補強

3.1 調査結果の概要

常時の鉛直荷重に関しては、これまでの使用実績から見て大過ないと考えられる。しかし、地震力・風圧力等の水平力に対して、桁行方向は筋かいで抵抗させているが、東西外壁面の壁長さから見て水平耐力が不足している恐れがある。

梁間方向は、小屋トラス端部と柱を挟む方杖によって、全体としてラーメンを構成しているが、その水平耐力は清算によって確認する必要がある。少なくとも現在の柱に添え柱を加えるという程度の補強が必要であろう。

3.2 補強・改修の方針

常時の鉛直荷重に関しては、これまでの使用実績から問題ないと考えられ、水平力に対する抵抗力を高めることが課題となる。以下のような処置が必要になろう。

(1) 基礎の強化
基礎は、新たに設計する必要がある。

(2) 床構面の水平剛性の向上
床組は部材が貧弱、改修に際しては新しい部材に変更するのが望ましい。構造用合板などを下地に用い、面内剛性の高い構造にする必要がある。

(3) 桁行方向の水平耐力の向上
桁行方向の筋かいの量を確認する必要がある。不足する場合は、たすきに入れるなど強化する必要がある。構造用合板などの併用も考えられる。

(4) 梁間方向の水平耐力の向上
屋根構面の水平剛性を高める必要があるが、それでも講堂部分の水平力を南北の壁面に伝えるには大きなせん断力が発生することになる。そこで、ある程度トラス構面を含む単位骨組で負担できる構造とすべきである。そのためには、外周の柱の梁間方向の断面係数・断面二次モーメントを高める必要がある。それには添え柱を付ける工夫などが必要となる。構法的な工夫で従来のファサードや内部意匠を損なわない設計が求められる。

(5)天井・屋根構面の水平剛性の向上
講堂部分の梁間方向の水平耐力の補強に併せて、天井・屋根構面を一体化する必要がある。講堂部分の格天井は部材も大きく、合板釘打ちなどによって面内剛性を高めることができる。
また、屋根面の水平剛性を確保する必要があり、野地板に構造用合板を張るなどの補強が必要と考えられる。

(6) 接合部の補強
接合部は、断面を大きくすることに加えて、建物が崩壊する場合には接合部が外れることが直接の引き金になると考えられる。そこで、羽子板ボルトなどを設けて接合部がバラバラになるのを防止することが、建物全体の靱性を確保することにつながる。

(7) 建物の軽量化
現在の建物は、天井に漆喰塗が用いられるなど、頭の重い構造になっている。同様なテクスチャーを得られる別の構法に変更し、建物全体の軽量化を図る必要がある。ただし、耐風対策としてアンカーボルトや柱上下の接合金物などを十分に設置する必要がある。